過日アルミ媒染、銅媒染で仕上げたコーヒー染めタンニンベースの糸を更に、
乾燥させたカイガラムシ・コチニールで作った真っ赤な染液で染め上げてみました。
教えによると
コチニール染はアルミ媒染が良いとのことでしたが、またしても自分で確認してみたい病が膨らんできて銅媒染も試してみました。
如何でしょう、仕上がりは画像の通り、
色の対比にと、前回染め上げたPalo
de la Vida染と一緒に並べて撮影しました。ピンクがアルミ媒染、薄い赤紫が銅媒染で仕上げたモノです。
このコチニール。
ペルー産、メキシコ産、ボリビア産のものが今は主流となっておりますが、化学染料が発明される以前、かれこれ150年前に遡ると、ここグアテマラが生産量ナンバーワンだったとのこと。
なるほど、グアテマラ国内を走る長距離バスの車窓から、場所によっては
一面のノパル(コチニール棲みつくウチワサボテン)畑を確認することができます。(当時の様子については児嶋先生の奥様、児嶋桂子氏が翻訳した、19世紀の偉大なる冒険旅行記録、中米・チャパス・ユカタンの旅)上下巻、人文書院で確認する事ができます。)
また、この度コチニールを購入したボリビアやペルーに住むインカの末裔たちにとって、
煎じて飲めば胃や腎臓に効く特効薬。とても重宝しているように感じました。
そう、
至極最近では、超有名米国発コーヒーチェーン店が、自社商品にこれまで随分使っておきながら「安全性確認はできている。しかし、一部顧客から食品に虫を使用するイメージの悪さを指摘され、今後は化学染料を使用しコチニールは使用しない」と、お客よりも投資家の顔色を窺うかの国らしい発表をしたことで、一部から注目を浴びました。
顔色を窺うと云えば、
コチニーヤが醸しだす魅惑色彩を見ていると、自然の節理を無視する俗世界の出来事とは無縁な美しい世界がそこにあることに気がつき、どうやら今はホッとした心境です。