5.08.2013

前後不覚にご用心

事前準備、事後処理。
他の生業同様に染色にも本番前後にやらなければならない仕事がありますものでして、そんな前後についてのお話です。

「前」は 染めたい糸の精練。

水に苛性ソーダや炭酸ナトリウムなどを適量加えて、適温加熱により繊維に含まれている夾雑物を取り除く重要な工程。

マヤ人の場合 
Hilo crudoと呼ぶ生糸は染用にできているから、そんなことを行なわなくても良いとして、水に浸しただけで本番に臨むケースが大半を占めますが、これは結果に繋がります。

画像を見れば一目瞭然。この汚れを目視確認するだけでも、必ず精練を行った方が良い事が解ります。

 

次に「後」、
 

以前も紹介した自然環境に悪影響を与える可能性のある銅媒染液の処理です。

全ては量的問題であることは明らかですが、画像をご確認下さい。

鉄サビ的な「塩化第二鉄」水溶液を利用して、銅と共沈させたものが茶色い泥です。

共沈物は変質しにくいもので、更に乾燥させてゴミ埋設処理とします。

ちなみに、上澄み液は透き通っていて青みがありません。銅の入っていない証です。

しかし、
この上澄み液、実はPH11。強アルカリで排水するためにはPH9まで下げる必要があり、中和が必須です。

ここで、基礎教育のお浚いが必要ですね・・・思い出して下さい・・・。

PH値一つ下げるには10倍、
二つは100倍以上の希釈が必要とされるわけで、

もしPH値12、なんてことなら、1000倍の水で薄める必要が出てきますが、今回
は市販の酢を少々添加して中和させることができました。

ちなみに、硫酸や硝酸を使えば、わずかな量で中和が可能となります。この場合はくれぐれも取り扱いにご注意ください。

水質に関する専門家のMさん、今回のブログ如何でしょうか??? 

分量は明記していませんが、汚泥の色などをご覧になって頂いた上で、
ご意見、コメントお待ちしています。 

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